太沢 確かにお料理をする時「どんなワインと合わせようか?」を考えながら作ると楽しいですよね。でも、直ぐにこのワインがぴったりと分かるわけではないし、実際には選ぶことは難しいですよね。レストランではソムリエさんやお店の方にお勧めを聞けますが、家庭料理に合わせるときはセレクションに悩みますね。
田辺 そんな時、ぶどう品種を知っていると合わせやすいですよ。
太沢 そうか、ワインスクールでは各ぶどう品種の特徴をつかむことがワインの味を知る勉強の第一歩でしたが、それぞれの個性が分かるようになると料理と合わせやすくなりますね。
田辺 例えば今日のお料理ですが、この野菜サラダには何が合うのかと考えてみると、野菜の持つ青い香りやサラダのシャキシャキ感には、酸が綺麗でハーブの香りと桃のような甘い香りがフレッシュなシュナン・ブラン種やソーヴィニョン・ブラン種から造られるワインを選ぶと、酸味もありドレッシングとも良く合いますよね。
太沢 選択の方法の一つとして、料理の持つ特徴とワインの持つ特徴を合わせるのですね。
田辺
そう、ソーヴィニョン・ブラン種から造られたワインの香りを専門用語ではヴェジタブル香と表現するのですよ。
生野菜の香りとワインの最初の風味をイメージすることが大切です。一方シュナン・ブラン種は味がまろやかで、ほんのりとした甘さと果実香が野菜の独特な香りを和らげてくれますね。
太沢
今の季節だとやや苦みのある春野菜の天麩羅にも合いそうですね。
でも、ヨーロッパのワインってあまりぶどう品種をラベルに謳っていませんよね?
田辺
実はぶどう品種がワインを選ぶのに役に立つと考えられるようになったのは最近のことなのよ。
最初はドイツ、フランスで、その後イタリア料理ブームをきっかけにイタリアワインが日本へ入ってきたの。でも、ヨーロッパのワインで品種名がラベルに書かれているのは僅かだったのね。だから南アフリカもそのひとつですが、カリフォルニアなどニューワールドと呼ばれる国々からワインが日本に入ってきた時、ラベルに品種名がはっきりと書いてあったから皆びっくり。それが今では世界中からワインが輸入されて、ぶどう品種が記載されているのも珍しくなくなったから、ワインは日本にすっかり定着しましたね。